GALLERIA大町の建物は、大正4年(1915年)から秋田に店を構えた「大村洋服店」とそれを引き継いだ「ぎゃらり大村」だった建物をリノベーションしたものです。あえて内装の古い部分を一部残し、大村洋服店時代に使用されたシンガーミシンと大きな鏡を2Fのホールに残しています。廊下の壁には昔ここで使われたミシンの写真や1960年代に使用されたテーラー用のポスターを飾っています。
大正4年(1915年)から平成26年(2014年)まで、ここ(秋田県秋田市大町1丁目2-2)には「大村洋服店・ぎゃらり大村」がありました。大村洋服店の最盛期には、この建物は3階建で、1階が店舗、2階が縫製工場、3階が縫製職人の住居でした。このミシンはその縫製工場で実際に使われていたもののひとつです。日本の戦後復興から高度成長への時期に活躍したものです。じっと見つめていると、当時の活気に満ち溢れた雰囲気とミシンの音が聴こえてくるようです。他に残されたミシンは、秋田の文化を支えた貴重な道具として、秋田市の「油谷これくしょん」に寄贈されました。
【大村洋服店・ぎゃらり大村の歴史】創業者、大村清太郎(明治19年(1886年)-昭和45年(1970年)青森県東津軽郡青森町(現青森市)出身)は、東京銀座の外国人が経営する洋服店で修行をし、大正4年(1915年)縁あってこの地で大村洋服店を開業しました。本場イギリスから生地を仕入れ、熟練の職人によって仕立てられた背広、礼服、コート類は戦前・戦後を通じて、多くの顧客に愛されました。店の経営は子孫が受け継ぎ、昭和50年代には高級雑貨店&ギャラリー「ぎゃらり大村」を併設。全国に数件しかないWedgwoodの正規販売店として、洋服とは別の形でヨーロッパの文化を発信しました。時代が変わり紳士服は大量生産・大量販売が主流となっていき、洋服の取り扱いは減少していきましたが、顧客の要望もあり大村洋服店は平成5年(1993年)頃まで続きました。平成7年(1995年)には仙北市角館町に大村美術館を開館。アール・デコの巨匠ルネ・ラリックのガラス作品を専門に展示するプライベートミュージアムとして注目されています。平成26年(2014年)、ぎゃらり大村は、秋田市での役目を終えて閉店。秋田市大町での99年間の歴史に幕を下ろしました。現在は事業を大村美術館に一本化しています。
資料提供 大村美術館 大村清一郎
◎大村美術館について